変形性膝関節症

症状

変形性膝関節症イメージ画像

変形性膝関節症とは、関節内の軟骨が加齢や筋肉量の低下などにより摩耗し、それによって痛みが引き起こされる疾患です。初期症状としては、運動を始める際や長時間の歩行、階段昇降時などに膝に痛みが生じることがあります。特に初期段階では、階段の下りや立ち上がる際に痛みを感じることが一般的です。初期には一時的な安静によって痛みが和らぐこともありますが、病態は徐々に悪化します。また、膝が腫れたり(水がたまったり)、重さを感じたりすることもあります。

疾患が進行すると、膝関節の変形(特にO脚がよく見られますが、X脚になる場合もあります)が進み、痛みが増強し、可動域が制限され、歩行にも支障が生じます。膝が完全に伸びず、曲がりも難しくなることがあります。進行すると関節の変形により膝関節の靭帯のバランスが崩れ、筋力の低下も加わって膝が不安定な状態になります。歩行時には杖や歩行支援具が必要になり、日常生活に大きな制約を受けることがあります。

原因

変形性膝関節症の原因は、関節軟骨の老化、外傷、肥満、遺伝などが考えられます。特に女性に多く見られ、主な原因は関節軟骨の老化です。関節軟骨が水分を失い、弾力性を失って摩耗し、損傷していくことが原因です。進行すると軟骨が完全に消失し、骨同士が直接接触する状態になります。この過程で余分な骨が突起して変形が生じるため、「変形性膝関節症」と呼ばれています。

治療方法

変形性膝関節症の治療の目標は、痛みの軽減と膝関節の機能改善を図り、日常生活の制約を最小限にすることです。治療は「保存療法」と「手術療法」の2つのアプローチに分かれます。保存療法は「生活指導」を中心に、「運動療法」「薬物療法」「装具療法」などが組み合わされます。保存療法が効果的であれば、それが優先的に選択されますが、痛みが軽減されず日常生活に大きな影響がある場合、手術療法が検討されることもあります。

半月板損傷

症状

半月板損傷とは、膝の半月板が何らかの要因で亀裂や断裂する状態を指します。膝関節内にはC型の軟骨の板である半月板があり、内側と外側にそれぞれ存在し、クッションとスタビライザーの役割を果たしています。半月板が損傷すると、膝の屈伸動作時に痛みや引っかかりを感じることがあります。重度の場合、膝関節内に水がたまったり(関節液貯留)、急に膝が固まる「ロッキング」と呼ばれる状態が生じ、歩行が難しくなるほどの強い痛みを引き起こすことがあります。

原因

半月板損傷の原因は、スポーツなどの怪我による場合と、加齢によって半月板が傷つきやすくなる場合があります。

スポーツなどの怪我による場合、体重を支えた状態でのひねりや衝撃によって半月板が損傷することがあります。また、前十字靭帯の損傷などと併発して発生することもあります。半月板は加齢により変性するため、40歳以上では軽微な外傷でも半月板損傷が生じやすくなります。

治療方法

半月板損傷の治療は、痛みと炎症の軽減を目指して湿布、抗炎症鎮痛剤、電気療法などが行われ、痛みの緩和を図ります。膝関節内に水が溜まっている場合、関節穿刺として知られる方法で水を除去することもあります。また、関節内の潤滑性を向上させるため、ヒアルロン酸などを注入する治療も一つの方法です。しかしながら、持続的な痛みや頻繁な水貯留がある場合、手術の検討が必要になることがあります。

鵞足炎

症状

鵞足炎は、膝の「鵞足(がそく)」と呼ばれる部位が炎症を起こしている状態を指します。鵞足は膝から約5cmほど下のすねの内側にあり、縫工筋、薄筋、半腱様筋の3つの筋肉が脛骨に接合しています。この部位は外見的にガチョウの足に似ていることから名前が付けられました。主にアスリートの方々や、膝の曲げ伸ばしを頻繁に行う人に見られる疾患です。

鵞足炎の症状には、鵞足を押した際の痛みや運動後の痛み、腫れ、熱感などが含まれます。重症の場合、休息中でも鵞足が痛むことがあり、ズキンとした鋭い痛みを感じることがあります。

原因

鵞足炎の主な原因は、鵞足部の過度な使用です。特に、鵞足を構成する縫工筋、薄筋、半腱様筋などの筋群が疲労を蓄積し、柔軟性が低下している場合にリスクが高まります。また、膝を外側にひねる動作(特に外側へのひねり)や、膝の内側の骨と腱がこすれる状況(例えば膝が内側にずれる動きやX脚気味の状態)もリスクを増加させます。

治療方法

鵞足炎は炎症が原因で痛みが生じます。痛みを和らげるためには痛み止めの服用や消炎鎮痛剤の塗布が行われ、アイシングによって炎症による熱感を軽減します。痛みが緩和された後は、ストレッチなどの次の治療段階への移行を準備します。

炎症が収まり、一定程度の膝の可動性が回復したら、ストレッチを行います。鵞足に付着する筋肉を適切に伸ばすことで、脚を動かす際に鵞足部につながる腱にかかる過度のストレスを軽減し、改善します。
筋肉が硬直すると、脛骨に接する腱に過度のストレスがかかる可能性があります。これが炎症を引き起こす要因となるため、ストレッチを通じて筋肉の柔軟性を向上させ、炎症の予防に努めます。