急性腰痛

症状

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急性腰痛とは、腰部に発症してから4週間未満の症状を指し、一般的には「一番下のあばら骨とお尻の間に起きる痛み」とされます。急性腰痛の主な症状は、非常に強い腰の痛みで、腰を曲げたり伸ばしたりする動作が困難になることや、座っていた状態から立ち上がることや歩行にも大きな障害が生じることがあります。

原因

急性腰痛の主な原因は、いくつかの要因によって引き起こされることがあります。一般的な原因としては以下が挙げられます。

筋肉の疲労が一つの要因として考えられます。ぎっくり腰は突然起こりますが、その原因となるものはゆっくりと進行しており、少しずつ溜め込んだ筋肉疲労が許容量を超えると、腰痛として発症してしまいます。具体的には睡眠や運動不足、栄養バランスの低下が続くと筋肉疲労が徐々に蓄積されていき、やがて腰痛を招いてしまうことになります。

骨格のゆがみも腰痛の原因となります。立ちっぱなしや座りっぱなしなど、長時間限られた姿勢でいることで筋肉の柔軟性が失われ姿勢が偏ってしまうことがあります。こうしたことが筋肉のアンバランスを生み出し背骨や骨盤が本来の位置からずれてしまうことで、その周辺の筋肉への負担が高まりやすくなり腰痛を引き起こすのです。

また、突然の過負荷も腰痛の原因となります。これは若い人やスポーツ選手に多いです。例えば高いところから飛び降りた着地の瞬間や、勢いよく振り返った瞬間など、腰に急激な負荷がかかり、ぎっくり腰を起こしてしまいます。

これらの他にも、年齢や体質、生活習慣など様々な要因が腰痛の発症に影響を与えることが考えられます。

治療方法

患者の状況に応じて治療薬やリハビリテーションが処方されます。治療薬は炎症や痛みを和らげる効果があり、筋肉の緊張を解いて無理のない範囲で体を動かせるようにします。リハビリテーションでは、患部に負担がかからない範囲で運動療法や物理療法を行い、痛みが減るにつれて徐々に運動を増やしていくことで、早く普段の生活に戻るサポートをします。

腰椎椎間板ヘルニア

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腰椎椎間板ヘルニアとは、背骨の椎間板が神経に圧迫されて手足の痛みやしびれが起こる病気です。主な症状はお尻や足の痛み・しびれ、動かしにくさ、力が入りにくさです。
腰椎椎間板ヘルニアの症状は、主にお尻や足の痛み・しびれ、動かしにくい、力が入りにくいという症状が出ます。痛みやしびれは下半身のどこにでも出る可能性がありますが、特にお尻から太ももの裏側の痛みは坐骨神経痛と呼ばれ、腰椎椎間板ヘルニアの代表的な症状です。

原因

腰椎椎間板ヘルニアの原因は、日々の生活で腰への負担が積み重なることが多く、車の運転や中腰の作業、重いモノの持ち運びなどが関連しています。特に男性や腰に負担のかかる職業の人々はリスクが高まりますが、負担の少ない人でも発症することがあります。また、喫煙や遺伝も影響を及ぼす可能性があります。

治療方法

腰椎椎間板ヘルニアの治療は、保存療法と手術療法に分けられます。
保存療法ではリハビリや内服薬、ブロック注射などが行われます。重症例を除いてまずは保存療法が選択されますが、症状が改善しない場合はMRI検査等を行い、下肢筋力の低下や膀胱直腸障害がある場合は手術が必要となります。ただし、保存療法は椎間板の圧迫を直接取り除くものではなく、症状の軽減に焦点を当てたものとなります。

腰部脊柱管狭窄症

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腰部脊柱管狭窄症とは、脊柱管が腰部で狭くなる病気で、50歳代から増え始め、60~70歳代に多く見られます。症状としては腰の痛み、お尻の痛み・しびれ、足の痛み・しびれ、足の筋力低下、歩行障害、排尿障害などが現れます。

原因

腰部脊柱管狭窄症の原因は加齢であり、脊椎の変形、椎間板の腫れ、黄色靱帯の肥厚などが脊柱管を狭くし、脊髄や血管を圧迫します。高齢者や腰への負担が大きい仕事をしていた経験がある人にリスクが高くなります。

治療方法

腰部脊柱管狭窄症の治療には、保存療法と手術療法があります。
保存療法では、神経ブロックや薬物療法、装具療法、筋力維持のためのリハビリなどが行われます。軽い症状の場合は保存療法で改善することもあります。しかし、保存療法で効果がなく、歩行すると下肢がしびれて歩行ができない場合や筋力低下のために日常生活に支障を来たす場合には手術療法を検討することもあります。

変形性股関節症

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変形性股関節症とは、股関節内の軟骨が摩耗し、関節炎(痛み)を引き起こし、関節の形状が変化して壊れていく疾患です。

変形性股関節症の特徴的な症状は、股関節(太ももの付け根)の痛みと機能の制限です。痛みと共に股関節の可動域が狭まり、日常生活の動作に支障をきたします。時間が経つと立つことや歩くことが難しくなり、進行すると運動しない時でも持続的な痛みや夜間の痛みが現れます。階段の昇降やしゃがみこみ、立ち上がりが難しくなり、可動域が制限されることで足の手入れや正座も難しくなります。

原因

変形性股関節症の原因は股関節形成の不全や肥満、遺伝などが挙げられます。患者の多くは女性です。女性の場合、発育期に発生した子供の頃の病気や発育障害の影響で、股関節の形成が不全になり後遺症として現れることが多いです。実際、股関節症全体の80%がこれに起因しているとされています。高齢化社会の進展により、特定の明確な原因がなくても年齢に伴って変形性股関節症が発症するケースも増えています。

治療方法

変形性股関節症の治療には、大きく分けて「保存療法(手術以外の治療法)」と「手術療法」の2つがあります。この疾患の治療目標は、股関節の軟骨摩耗を遅らせ、症状の進行を最小限に抑えることです。

初期段階では、体重管理などの「生活指導」や、筋力トレーニングを含む「運動療法」、痛みの緩和に向けた「薬物療法」などが主に行われます。これらの保存療法にもかかわらず症状の改善が見られない場合や、激しい痛みや生活の制約がある場合は手術の検討がされます。

予防

生活習慣の見直し

股関節への負荷を軽減するために以下のポイントに留意しましょう。

  • 重い物の持ち運びは避ける
  • 適切な体重維持を心がける
  • 歩行時の痛みがある場合は杖や歩行支援具を検討する
  • クッション性のある靴を選ぶ

これらの生活習慣の見直しにより、変形性股関節症の進行を防ぎ、症状の改善が期待できることがあります。

ストレッチ

股関節の柔軟性を向上させるためのストレッチ方法をご紹介します。ストレッチは股関節周囲の筋肉を緩め、股関節の可動域を広げる助けになります。

変形性股関節症予防のストレッチ
  1. 座って片脚を曲げ、もう一方の脚は伸ばします。 座って片脚を曲げ、もう一方の脚は伸ばします。
  2. 背筋を伸ばし、曲げた脚に胸を近づけるように上体を前に傾けます。 背筋を伸ばし、曲げた脚に胸を近づけるように上体を前に傾けます。
  3. この姿勢を10秒間保ち、10回繰り返します。

ストレッチを行った後は、筋力トレーニングを行うことで股関節周囲の筋肉を鍛え、関節への負担を軽減することができます。